それは王様が大学4年生の時だった。
少しでも将来役に立つバイトがしたいと思い、ハローワークで求人をあさり、IT系ベンチャー企業で働くことにした。
従業員数3人で、すぐ怒る社長と、ひ弱なドランクドラゴン鈴木に似た男性、昔IT系で働いていた主婦のパートさんで構成されていた。
王様は事務処理と手が回ってない部分のWEBサイトデザインを少し担当していた。
数ヶ月たったある日、人手が足りないことから、そういうのが好きそうな大学の同級生をバイトに誘った。
そいつはゴボウみたいなやつだった。
ゴボウは無口で職人っぽいところがあり、自分でパソコンを組み立てたり、機械工作をするのが好きだった。
ゴボウはガリガリだったのでバイトのシフトが同じ日は一緒にボリューム定食を食べた。
しかし会話も少なく、我々はボリューム定食を一緒に食べるだけのビジネスの関係だった。
とある日、ゴボウと王様で一仕事よろしくと頼まれた。
王様はちんぷんかんぷんだったが、ゴボウがなんとかしてくれた。
てきぱきとゴボウは仕事をするので、王様はゴボウになんでそんなにできるのか聞いた。
ゴボウは、家で寝る時間を削ってサイト作成の勉強をしているらしい。環境構築から全て一人で家で試してみたと。
なんで睡眠時間削るのかと聞いたら、楽しい、好きだからと答えた。
・・・・・。
王様はサイト作成のことそこまで好きじゃないし、睡眠時間を削るなんてありえない。
好きだったらそんなことができるのか、好きの度合いが深い人には敵わないんだと思った。
王様は好きな気持ちも浅く、努力するにも苦痛が上回り、自分を騙しているような気持ちになった。
王様は完全に敗北した。
でもゴボウにも弱点があって、色とデザインのセンスが皆無だった。
やつが作ったちょっとした表でさえひどかった。 ので王様もデザイン担当として生き残れた。
今となっては違う仕事をしているけど、貴重な経験だったと思う。