それは王様が大学3年生の時だった。
大学では半年単位で授業を選び、授業を受け最後にテストがある。
そのテストを合格すれば、単位が取れる。
単位を一定数集めることで、次の学年に上がれるというシステムである。
王様の同級生にストーンというやつがいた。
(名前に石が入っていた)
ストーンはただのクラスメイトだったが、ストーンは授業中いつも寝ていた。
王様は授業中聞いていることが多いが、先生の話が長かったり、好きじゃなかったりしたら自分で勉強したり、そっぽを向いていた。(これは普通だと思う)
ある日授業でグループワークがあったときに、ストーンと同じ班になり顔見知りから、少し話すようになった。
その時も、違和感は感じていた。
ストーンは、ラーメンが動いているのを見て、すぐにムーブメントと言っていた。
MOVEと麺をかけており、連想の引き出しから引っ張り出すスピードが異常だった。
ムーブメントの品質はさておき、その頭の回転のはやさに王様はひっかかっていた。
そんなこんなで、とうとう半年が終わり、テストの時期が迫っていた。
ある数学のテストの日だった。
王様はいつも通り寝坊してしまい、ダッシュでテストの教室に向かった。
教室の前の休憩スペースにストーンがいた。
何をしているのかたずねると、勉強していると答えた。
まだ教室に入らないのかとたずねると、ノー勉だから今から勉強すると言っていた。
ストーンはおそらくマジで勉強していない。そういうやつである。
王様はドンマイと思いながら教室に入った。
内容は高校数学IIIの応用だったが、全く知らない公式がいくつも出てくる。
こればかりはストーンも終わったなと思った。
だがしかし、ストーンは途中入室のギリギリまで勉強し、テストの教室に入りテストを受けていた。
そしてテストの結果は、ストーンは7割点を取り合格していた。
王様の考える範疇ではどう考えてもあり得なかった。
今回の試験は公式を暗記するだけじゃ応用できないので解けない。
公式を理解したとしてもあの時間だけで理解するのはあり得ないのである。
何問か解いてやっと形をとらえるようなものなのに、意味がわからなかった。
ストーンに聞いたら、睡眠学習できるんだよねと笑っていた。
寝ながら頭に入ってくるらしい。本当か?
これが王様の2つ目の敗北である。凡人じゃ理解できないことがある。
他にも、王様が数日かかった課題を30分ほどで終わらせている時もあった。
ちなみに王様は普通である。決して王様が時間がかかっているわけではなく、平均である。
ストーンは頭の中に次世代高性能CPUが入っているとしか思えなかった。
ちなみにストーンは医者の家系だったらしい。
血ってすごいんだなと思った。